先週、小樽の「坂」と「道」にスポットをあててお伝えしてきましたが、本日はその続編となります。
前回の記事を読んでいない方はぜひ下のリンクからどうぞ。
今週は堺町通りのお店と建物を眺めながら、小樽港に抜けて行く様子を紹介します。
歴史的建造物の街 小樽
小樽の観光(お土産スポット)のメインストリートとも言える「堺町通り」は、「日銀通り」の小樽郵便局付近から「入船通り」の「メルヘン交差点」と呼ばれる部分までを繋ぐ、全長850m程度の通りです。なにも考えずにただ通り過ぎるだけなら、足の速い方だったら10分程度で歩いてしまうだろう、という距離に、実に80軒以上のお店が建ち並んでいる、まさにお土産・観光メインストリートです。
そのお店の内容はまさに多岐にわたっており、カフェや食事処から始まり、ガラス細工や加工品を扱うお店、海鮮類を取り扱うお店、雑貨のお店、アクセサリーのお店、スイーツのお店、などなど、もう目移りしてしまう程のボリュームで私たちのおサイフを狙ってきます(笑)。
そのお店の種類にもびっくりするのですが、小樽ならではの古い建物がそのままの形で店舗として多く使用されているのもここ堺町通りの特徴です。古い建物は小樽全体に建ち並んでいるのですが、この堺町通りは比較的小規模(2階建てや3階建て)のものが多いのも特徴です。明治から大正・昭和初期に建てられた「蔵」や「民家」等もその中に混じっており、そういった趣のある建物を探す(眺める)ことも、ここ堺町通りの別の楽しみと言えます。
これらの多くは「小樽市指定歴史的建造物」として整備されており、元々の建築用途としては店舗、料亭、寺院、教会、倉庫、銀行、漁師のお宅など様々。
ですが、それぞれが当時の最先端の建築技術やデザイン、スタイルを施されており、その建築技法から時代を読み取ったり、スタイルを比較して見てまわる、という散策が可能で、ここ小樽の醍醐味とも言えます。
小樽市では、昭和58年(1983年)より歴史的建造物の保護と景観を目的とした条例を制定しており、最初は31棟の建造物から始まりました。さらには、「都市景観の保全」を目的とした「まちづくり景観条例」を定め、市内全域を対象にした歴史的建造物の調査を行ったとのことです。これはもちろん、歴史的な建造物の保全・保護といった目的もありますが、基礎的な資料を作る目的もあったようです。
この調査では、外見の状況のみならず、構造や屋根の形状、外壁などの観点から項目ごとに分類され、2357棟もの建物が対象となりました。その中から主要なものを選出し、各関係部署からの答申を受け(もちろん建物の所有者の同意も得た上で)指定したものがこの「小樽市指定歴史的建造物」なのです。現在、この「小樽市指定歴史的建造物」には75棟が指定されており、小樽市のWebページなどでそれを確認することができます。小樽市指定歴史的建造物は、次回記事でも紹介する予定です。
堺町通りで観光気分満喫 ♪
堺町通りのメインはやはり買い物・ウィンドウショッピング・食べ歩き。
一方通行の堺町通りの両脇に並ぶお店はどれも個性的なものばかり。中でも採れたての魚介類を炭火焼きなどで食べさせてくれるお店もいくつかあるので、北海道の海の幸を味わうにはぴったり、お手頃です。
こんな感じで店頭でダイナミックにホタテの貝殻ごと焼いてくれたり、ちょっとした小上がりでお茶を飲んだりできるスペースがあるところもあります。もちろん地方発送なども気軽に承ってくれるので、荷物を多くしたくない場合にも最適です。
そして、この堺町通りに多いのはガラス関連のお店。小樽は港町だけに、昔からニシン漁が盛んでした。そのニシン漁で使用される「ガラス玉」がこの小樽のガラス製品の始まりと言われています。ガラス玉は、網を張る際の「浮き球」として使用され、産業が発展しました。時代の変化と共にそのガラスの浮き球はプラスチック製にとって変わっていきましたが、ガラス細工の技術は食器や工芸品、趣向品に形を変えて今の小樽を支えています。
堺町通りにも、あちこちにこのガラス製品のお店を見ることができ、色とりどりの色をしたガラス製品で観光客の目を楽しませてくれます。値段も様々なのですが、思わず欲しくなってしまうものがたくさん。
また、そのガラスの歴史をそのまま今に伝えてくれる建物も多いのです。特に有名な「北一硝子」は、当時の倉庫をそのまま使用した店舗をいくつか構えており、中も見学することが可能です。建造当時は、ニシンなど魚の加工品がおさめられていた倉庫も、ニシン漁の衰退と共にさまざまな用途に鞍替えしていったと聞きます。
これら石造りの倉庫は、骨格を木(エゾマツやトドマツが主に使用されている)で組み、外壁を小樽の軟石を使用して作られています。軟石は断熱効果に優れ、小樽の厳しい冬の寒さや夏の暑さから保存している物資を守ってきたのです。
ここ「北一硝子三号館」は、この雰囲気そのままのカフェも併設されており、堺町通りを2/3ほど進んだ所ということで絶好の休憩場所になると思います。ウィンドウショッピングで歩き疲れた体と心を、薄暗い石造りの雰囲気で癒やしてくれます。建物の中には、当時運搬用に使用されていたトロッコ用の線路もそのまま残されており、歴史を感じさせてくれるたたずまいでぜひ訪れてみることをおすすめします。
港の街 小樽
小樽と言えば、やはり港は外せません。
小樽港の規模はかなり大きく、その横幅は堤防の部分で約3.5kmもあります。いくつもの埠頭が建ち並び、倉庫や商業施設、フェリー乗り場等が隣接されています。夏には、「おたる潮まつり」が行われ、たくさんの屋台が建ち並び花火大会が行われて多くの見物客で賑わう場所でもあります。
最盛期にはニシン漁や石炭の積み出し港として整備され、北海道開拓の拠点として発展してきましたが、現在では石狩新港の整備等が関係し、かなり閑散としてしまいました。倉庫街もがらんとしていることが多く、訪れた夕方は人気(ひとけ)もなく並んだトレーラーが寂しさを醸し出していました。特にここ10年ほどの衰退は大きく、貨物量はほぼ半減してしまったとのことです。小樽港ではなく、利便のよい苫小牧港にシフトしてしまっていると聞きます。埠頭でのんびりと釣り糸を垂れる姿が印象的でした。
そんな小樽港ですが、ここ数年は「商業化」「ブランド化」に力を入れており、小樽築港(おたるちっこう)を中心に環日本海クルーズのクルーズ客船寄港が盛んになっています。小樽港の東側を中心にこれらの施設建設が進んでおり、ウィングベイ小樽の名称とともに発展していることがわかります。本来の小樽港は、のんびりとした雰囲気がありますが、ウィングベイ小樽はお台場のような雰囲気と施設が見てとれて対照的でした。
カモメも餌に困っているのかもしれません。
ここまで船見坂→色々な道ブラ→堺町通りでの探索とずっと歩いてきたのでいささか疲れ、お腹も空いて喉も渇きました。ここらで何か食べておいたほうが良さそうです。時間を見たら早くも夕方にさしかかり、小樽の1番美しい時間帯の始まりです。
やっぱり、ここはジンギスカンでお腹を満たすことにします。こんな風に小樽にだって、道民のソウルフード「ジンギスカン」はあるのです。しかも七輪!使い込んだジンギスカン鍋!期待値がぐんぐんと上がってしまいますね(許可をいただいて撮影させていただきました。ありがとうございました)。
腹ごしらえをして、来週は小樽の「マジックアワー」をご紹介します。小樽が1番美しくなる時間帯の、陽が沈む前後の数時間。
さて、どんな光景が私たちの前に広がるのでしょうか? お楽しみに!
★今日ご紹介の場所(ポイントをクリックすると場所が表示されます)