冬の美瑛をもっともっと美しく。
そんな想いから、今シーズンより美瑛の青い池のライトアップが開始され、好評のうちに終了しました。来シーズンの予定は現時点(2015年3月1日)ではまだ発表されていませんが、ぜひともまた実施してほしいステキなイベントでした。
今回初めての試み、ということでまだまだ知られていない方も多かったようです。
「見逃してしまった!」という方のために、私たちが出かけて撮影した様子をお伝えしたいと思います。
美瑛の青い池
ここ数年、美瑛で有名になった観光スポットです。
この青い池、実は自然にできたものではありません。偶然の産物とはいえ、人口の場所なのです。1988年12月に噴火した十勝岳の堆積物(砂や泥・岩石片など)による火山性泥流被害を防ぐために堰(大量の土砂などをせき止める目的)を建設したうちの1つに「たまたま」水が貯まってできあがったものです。青い池には、水面から木々が伸びていますが、これはもともと生えていたカラマツや白樺が水の浸入によって立ち枯れたもの。さまざまな要因が重なって、この光景ができあがりました。
また、青い池の色の秘密は湧き水にあります。この一帯の湧き水には「水酸化ナトリウム」などの微粒子が含まれており、それが付近を流れる美瑛川と混ざる際にこの「青」が発生すると言われています。水中に差し込んだ日の光が粒子と衝突散乱し、水の吸収によって青色の透過光が加わりこの色が発生しているそうです。これも、偶然の出来事。ですので青い池の色は常に一定ではなく、天候や季節などによっても左右されます。緑色っぽい時も、深い青に見える時もあるのです。美瑛側の水が流れ込んだ池なので、当然、美瑛側もこの付近を流れる水の色は「青色」をしているのです。
青い池に行ってみよう
青い池は、美瑛市街から白金温泉方面へと伸びる「道道966号線」沿いに位置しています。
ライトアップの時間は、午後4時から9時まで。あたりが暗くなる頃に出かけてみました。
出かけた日は、ちょうど満月の夜でした。
美瑛の丘に日が沈むと同時に、別の丘から月が昇ってくるというロマンチックな光景を見ることができました。冬の美瑛で、このように満月がきれいに見えるのは本当に少ないこと。とっても得をした気分になりました。
途中のJR富良野線の踏み切りで、富良野行きの汽車に出会いました。
美瑛を走る汽車は、丘陵地帯を登り下りします。写真でもわかるとおり、すごく急な坂をこれからまさに駆け下っていくところです。もちろん、JRだけではなく道路もアップダウンがたくさんあります。頂上から見ると、丘に沿ってうねっていく道路が見える場所がたくさんあります。中には、10km以上直線でアップダウンを繰り返す「ジェットコースターの道」と呼ばれる場所もあるくらいです。残念ながら冬期は一部しか通行することができませんので、雪のない時期に訪れてみてください。
青い池に到着
美瑛市街から約20分程度で、青い池の入り口に到着しました。
入り口には、青い池の看板が表示されており、道も一直線なので迷うことはありません。
昨シーズンまで、冬期は除雪がされていないため入ることはできませんでしたが、今シーズンからキチンと除雪され、外灯なども完備されています。こういった整備をしてくださった方たちに感謝です。もともと、青い池の場所は立ち入り禁止区域だった場所。開放してくださったことにも感謝しなくてはなりません。
広い駐車場に車を止め、三脚とカメラを持って歩き出します。
駐車場から青い池まで5分程度。途中の道もきちんと除雪され、ライトで照らされていました。駐車場にはトイレも完備されていて至れり尽くせりです。付近にはこういった設備がないので非常にありがたいことです。
しばらくすると、右手側にライトアップされた青い池が見えてきます。
さあ、感動の瞬間です。
神秘的な世界に息を飲む
初めて見た青い池のライトアップは、もう言葉が出てこない状態でした。
ライトアップは、都会のイルミネーションと異なりとても静かで神秘的な演出がされています。数分ごとに光の表情が変わるようにセッティングされており、色々な表情を楽しませてくれます。白くなったり、青くなったり、横からの光で木々の影が強調されたり。しばらくは写真を撮るのも忘れて、その場で見入ってしまったのでした。
この日は快晴ということもあり、そして満月ということもあり、より神秘的な表情を見ることができました。写真に撮ると、月が太陽のように輝いてまるで北欧の白夜を体験しているよう。こんな写真が撮れることにとても感謝してシャッターを切っていました。
でも、気温はどんどんと下がります。
ただでさえ冷え込む真冬の美瑛。しかもこの日は今シーズンで最も冷え込む日と重なってしまったようです。あっという間に−10℃を超え、−15℃を超えていくのでした。こうなると、どんなに防寒していても寒さは足下から襲ってきます。上はダウンジャケットや帽子などで防寒していましたが、足下は普通のスニーカーだったのでちょっと失敗してしまいました。足下も、防寒用の冬靴を履いてこないと1時間以上の撮影は耐えられないことを身をもって実感してしまいました。
でも、そんな苦労もこの景色を見たら忘れてしまいます。
写真好きの悪いクセですね。
帰りにふと空を見上げたら、まさに満点の星空が広がっていました。
満月の明るい光の下でもこんなに見えるなんて、ちょっと感動ものです。都会では絶対に見ることができない景色に、またまた寒さを忘れて見入ってしまいました。冬の代表的な星座であるオリオン座や、おおいぬ座、こいぬ座や、それらから織りなす「冬の大三角形」まで手に取るように見ることができました。月がなく快晴の日には、天の川や遠い天体まで観察することができるこの場所。星座のためだけに来てもステキなんじゃないかなと思いました。
青い池を離れたのは午後8時過ぎ。
この時、気温はすでに−20℃に届く勢いでした。芯まで冷え切った体は、車のヒーターを最強にしても1時間ガタガタ震えていたのはココだけの話です。
この青い池は、夏のシーズンにはたくさんの観光客の方が訪れます。土日にはそれこそ場所の確保も困難なほどの場合があります。それに比べて、冬の夜のライトアップは非常に静かです。この日は平日だったこともあるかもしれませんが、私たち含めておよそ10数名の方だけでした。今後、回数を重ねることによって訪れる方の数が増えてくるかもしれませんが、穴場的な感じでとても良かったです。
このステキなイベントを今後も続けて行くためには、地元の方の協力や、行政のサポートも必要になるので大変なご苦労があるかとは思いますが、ぜひともまた来年も体験したいステキな時間でした。
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