港町として、そして観光地として古くから栄えてきた小樽。
おそらく道外の方でもその地名を聞いたことがない方はいらっしゃらないのではないかと思います。
札幌市街から車でもJRでも30分強程度の時間で到着することができ、札幌市のベッドタウンとしての役割も最近では担っています。
小樽の魅了はたくさんありますが、今回は「坂」「道」「港」「建物」「夜景」というテーマで、数回にわたって魅力をお伝えしていきます。
坂の街 小樽
意外と知られていないことかもしれませんが、小樽は坂の街。北海道では後志(しりべし)地方に属し、日本海沿岸に位置しているのですが、小樽の南側はほとんどが山地となっています。けっして標高は高くはありませんが、ところどころでその山々が海岸線まで迫っており、市街も傾斜地にまで展開しています。山を切り開いてその上に住宅街を作っている所も多く「坂の街」と呼ばれ、坂の代表的なものに船見坂(ふなみざか)や地獄坂と呼ばれているところがあります。
札幌から小樽に向かうJRに乗り込むと、右側に日本海を望みながら左側にはもうそこまで迫ってきている山々を見ることができるはずです。この日本海沿岸部を走るJRからの眺めは非常に美しく、季節によって色々な表情を見せてくれます。冬には厳しい日本海の姿、そして夏にはキラキラと太陽に輝く水平線など、一見の価値があります。札幌から小樽に向かう際にはぜひともJRで、カタコトとのんびり揺られてみることをおすすめします。
小樽は坂の街、と言いましたが小樽の駅に降り立ってみるとすぐにそれを感じることができると思います。駅を背にして振り返ると、そこには天狗山や丸山といった姿を見ることができます。駅を降りてすぐ左側にはもう、写真のような「さあ登って!」と言わんばかりの階段が。ここを登ってすぐ、有名な「船見坂」があります。
晴れた日に「船見坂」を登ると、約1.5km先にある小樽港の第3埠頭がよく見えます。ここは坂の多い小樽でも屈指の急な坂となっており、その勾配は15%超。つまり10m進むと1.5m高くなるという坂なのです。歩いて登るのはもちろん、車もエンジンをうんうんうならせながら登っていきます。
ここ小樽の暑さはそれほど厳しくないので、夏でも30℃を超える日は平均で数日ほど。ですから夏のシーズンにここを訪れるのはさほど困難ではありませんが(逆に海風が気持ちが良いです)、冬は大変です。日本海側特有の気候で、北海道の中でも降雪量が多い地域として知られており、毎年最大で1m以上の積雪量が観測されます。
大雪の中、ここを歩かなくてはならないと考えるとぞっとしてしまいますね。ここ船見坂の上にも住宅街は広がっており、住んでいる方のご苦労がわかります。そして、意外とこの船見坂の交通量が多いことにも驚かされると思います。車がひっきりなしに通ることもあるので、撮影の際には十分気を付けて。
船見坂を下から見上げるとその急坂ぶりがよくわかります。
ここを一旦登り切ると一息ついてJRのガード。そこからもう一回急な坂を登って、上の写真を撮ったスポットとなります。1番下から1番上まで一気に歩いて登ると、結構ハードですよ!足腰に自身のある方でもかなりなものだと思います。
また、近くには三角市場があります。場所は小樽駅と船見坂のちょうど中間ほど。
お土産品や食堂など、小さなお店が軒を並べているのですが、通路が坂道になっています。その坂道は、全長200m、幅2mほど。その両脇にお店がぎっしりと詰まっている感じです。雰囲気は古くからあるため昭和の趣がたっぷり。ここも非常に小樽らしいところでぜひ立ち寄ってみることをおすすめします。ここ三角市場は、毎日営業していますので、いつ行っても安心です。
ぶらぶらと両脇のお店を見ながら進んで行くと、ちょっとタイムスリップしたような不思議な感覚にとらわれます。お店の人たちもみなさん気さくでいい人たちばかりでした。
魅力的な道の街 小樽
小樽散策をする時にポイントとなるのはどの道を歩くか、ということ。
小樽は観光地らしく道にもその道の「色」があるのです。例えば小樽の駅前から港にまっすぐ伸びる「中央通り」にはメインストリートとしての貫禄がありますし、日銀通りには明治・大正・昭和初期に建てられた重厚な作りのビルが建ち並びます。どの道を選んでも楽しいですので、時間に余裕をもってぶらぶらと歩くことをおすすめします。
小樽駅前の中央通りから少し下るとこの都通りが右に広がります。アーケード付きの商店街なのですぐにわかると思います。
ここの通りには、カフェや食堂はもちろんのこと、洋服店や時計店、靴店、生活雑貨店など、まさに小樽市民の暮らしにかかわる多彩な店が並んでいます。こういった場所でも、戦後間もない時に建てられた古いビルが混じっているのが小樽の特長。そういった歴史的な建物を探してみても面白いでしょう。
ふと横を見ると、そこにはまた魅力のある道がつながっています。小樽は昭和の面影を多く残す街。きっとそこに懐かしさを覚える方も多いのではないでしょうか?もちろん若い世代の方にも、そういった風景は新鮮に、そしてどこか日本人ならわかる風情を感じ取れるのではないかと思います。都通りと平行する静屋通りも下町情緒たっぷりのひなびた裏通りが味わえます。
都通りを突き当たり、サンモール一番街のアーケードを抜けるとそこに広がるのは「花銀通り」。花銀通りは昼は食べ歩きができるお店がたくさん建ち並び、そして夜にははしご酒なんていかがでしょうか?この通りからつながる細い小路まで、賑やかに明かりが灯りなんとも言えない風情と雰囲気を醸し出してくれる情緒あふれる道なのです。緩やかな坂道を上りながらJRのガードをくぐってもまだお店は続きます。南小樽の駅周辺までのこの道は、きっとよい散歩コースになるでしょう。
そして、数多くの寿司店が建ち並ぶその名も「寿司屋通り」や、
土産店が数多く建ち並び食べ歩きやお菓子好きの方にもぴったりの「堺町通り」へと道は続きます。
特に「堺町通り」は、小樽の代表的な土産店が建ち並ぶスポット。スイーツのお店や、小物、雑貨、海産物やカフェ、アクセサリーや小樽名物のガラス製品など、見ていて飽きないとはまさにこのこと。きっと女性の方は大好きだと思います。逆に、お父さんはちょっと疲れてしまうかもしれませんね!
小樽の魅力的な道をぶらぶらと歩いていると、時間の経つのはあっという間です。お昼過ぎに小樽の駅に着きましたが、ご飯を食べてぶらぶら歩いているともう陽が傾いてきました。3月とはいえ、まだまだ北海道の昼の時間は短いのです。
今週はここまで。
次回は、堺町通りに並ぶお店をぶらぶらと見ながら小樽港へと抜けて行きます。
きっと次回も、魅力的な小樽を発見できると思いますよ。
お楽しみに!
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